♬アーティスト インタビュー♬ヴァイオリニスト・廣津留すみれ さん



廣津留すみれ ひろつるすみれ

 

大分市出身。ハーバード大学学士課程・ジュリアード音楽院修士課程を修了。高校在学中にNYカーネギーホールにてソロデビュー。大学在学中より世界的チェリストのヨーヨー・マと度々の共演を果たし、米国にて演奏活動を拡大。また『ファイナル・ファンタジー』などゲームのサントラ録音を担当。2013年設立の英語セミナーSummer in JAPANの主宰や、「講演演奏会シリーズ」の開催、TVのコメンテーター出演など演奏の傍ら多方面で活躍中。最近の出演に『サンデージャポン』(TBS)『題名のない音楽会』(テレビ朝日)、著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。成蹊大学客員講師・国際教養大学非常勤講師。

 

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アメリカで学ぶことを決断した一番大きな理由は何ですか?

 

初めてパスポートを作ったのは高1で、イタリアの国際コンクールに出るためでした。 

その副賞でアメリカツアーに参加させて頂き、その時にハーバード大学のキャンパスツアーに参加したのです。 

その時に、現役ハーバード生の学業と課外活動を両立させる姿勢が素晴らしくて…これだ!と。私にとって学業と音楽の両立は小さいころからの目標だったので、実現できるのはここだと思ったんです。

 

日本とアメリカの教育で、大きな違いはどんなところにあるとお考えですか?

 

日本は大学入試もペーパーテストで測れるところを主に見ますが、

アメリカはセンター試験にあたるSAT自体が、コロナを理由に必要なくなって来ていて、 

定量的に測れる学力自体が高校の成績くらい、後は人柄、エッセーと呼ばれる小論文、そして課外活動なんです。 

つまり、人の能力を判断する基準が大きく違うんですね。

 

これは、ハーバードだけではなくどんなレベルの学校でも言えます。 

授業における発言や態度を見て、その人がどんな人間でどんなことを考えているのかが重要視されます。 

小さいころから家庭内で日常的にディベートしている訳ですしね。

 

では、高校2年の渡米を機に、留学を決意されたのですね?

 

でも、帰国当初はまだ実感なかったです。

ハーバード生って本当にいるんだなぁくらいな(笑)

高3になる前に、そろそろ進学先決めなきゃなというところで、やってみようかなと。 

今はネットで検索すれば何が必要か調べられるので、準備は自分で出来ますし。

 

とにかく、学業も課外活動も極めること自体、「普通のこと」として皆がやっている環境は魅力的でした。

 

最初に行ったイタリアには魅力を感じなかったですか?

 

もちろん魅力的な国ですが、コンクールに出ただけで、結果も聞かずとんぼ返りで、どこにも行けなかったので…また改めて行ってみたいですね。

 

演奏家としての活動で、日本とアメリカに違いは感じますか?

 

日本がどうなのか分からないのですが、アメリカはクラシックというジャンルにとらわれず、ボーダレスにトライする音楽家が多いですね。 

楽しいと感じればどんどんチャレンジしていく姿勢が、私は好きです。

 

また、色んな国の人がいるのも刺激的です。ニューヨークではアルゼンチンタンゴを弾く機会が多かったのですが、自国の本場で弾いていた人たちと演奏が出来る。今はその多様な環境が恋しいです。

 

それと徹底した実力社会で、上手いと評判になれば、横のつながりでどんどん次の舞台のオファーも来ます。逆に一度失敗したら…という心配もありますが。

 

コロナ収束後はアメリカ拠点で活動される予定ですか?

 

はい。当初はこんなに長く日本にいるつもりはなかったんですよね。

 

ニューヨークで学ばれたことのうち、一生懸命取り組まれたことと言えば?

 

クラシックへのこだわりは全くなく、大学時代はゲーム音楽、ファイナルファンタジーとかキングダムハーツの録音の現場で演奏させて頂く機会が多くて、とっても楽しかったです。何万人も集まるゲームエキスポで演奏するんですが、皆さん号泣されるんですよ。20~30代の方が10代の頃やっていたゲームのサントラを聴くと蘇るんですね、思い出が。 

この経験で、音楽のストーリー性の重要さを学びました。

音楽がエンタメとしてどうあるべきか、とても勉強になりました。

 

そんな中、大学3年の時にヨーヨー・マの「シルクロード アンサンブル」に誘って頂いたんですが、これも世界各国の音楽をストーリー仕立てで演奏するというスタイルだったんですね。

なので、クラシックを演奏するとしても、ストーリーを語るのは大切だと思っています。ジュリアードの卒業リサイタルも必ずプレゼンテーションを伴うので、アメリカ的な発想とも言えますね。

 

一方通行で「私のリサイタル90分聴いて!」ではなく、これからの音楽は双方向なエンターテインメントであるべきだと思っています。

 

ご自身はゲーム好きですか?プライベートタイムは何をされてますか?

 

いえ、あまりゲームはしないですね(笑)

アメリカにいた時、日本のドラマをものすごく観てました。 

日本語が恋しかったんだと思います。逆に今はアメリカのドラマばかり観ています。SUITSとか、軽いものが好きですね。

後はミュージカル映画も大好きです。イン・ザ・ハイツも観に行きました。

 

気分転換にすること、毎日必ずすることはありますか?

 

ストレッチは必ずやりますね。

小さいときバレエをやっていて、体は柔らかいのですが、ヴァイオリニストはどうしても肩こりになってしまうので、左右を対象に保つためにも続けています。

後は週1くらいでジムに行くとか、体のメンテナンスですね。

 

食べ物はどうですか?日本とアメリカでは?

 

それはもう断然に日本食ですね!

もちろんニューヨークではお金を出せば各国の美味しいものを食べることが出来ますが、 

安くて美味しいものを毎日食べられるのは日本です。

一番の好物はちくわです(笑) 大分県で魚介類に囲まれて育ったので。

 

一番好きな作曲家といえば?

 

うーん、難しい…その時取り組んでる作曲家が好きになるかなぁ。

メンデルスゾーンのコンチェルトをやっている時は、メンデルスゾーンは本当に良いなぁと思いますし、鉄板でチャイコフスキーは大好きですし。

一番を選ぶのは、ちょっと難しいな。

 

オペラ、ミュージカルなどの声楽はどうですか?

 

ニューヨークではMETに行きましたね。ラ・ボエームとか泣きましたし。

大抵、ジュリアードの先生方がピットに入って演奏されてるんですよ。 

学生用のチケットで入って前半を観て、休憩中に飽きて帰ってしまうマダムたちに良い席のチケットを譲ってもらったり(笑)

舞台が空間としてとても広く、スペクタクルですし、オーケストラも素晴らしいです。

 

ミュージカルは、トニー賞を観るのが好きなんですよ。

そして、ハーバード在学中にピットでしょっちゅう演奏してました。 

学生プロダクションが沢山あって。オペラも沢山やりました。 

プロデュースも学生で、会場確保からファンド集め、スタッフも出演者もすべて学生でしたから、本当に勉強になりました。

学校にスターが毎学年に何人かいて、あの人は間違いない、と皆で認めるみたいな雰囲気もありました。

 

学生時代から踏んでる場数が違うということですね

 

そうですね、プロデュースを経験することで、制作現場を理解できるのは大きいですね。必要なお金や人を数えたり、チケットの売れ行きを心配したり、そういうことを演奏者が学生時代に経験出来るのは大きいです。

 

「いつかここで演奏してみたい」という場所はありますか?

 

うーん、宇宙とか(笑) 今、民間で行くこと出来ますよね。

まだ弾いた方いらっしゃらないのかな。 

この前オリンピックでサックス吹いてる方はいましたよね。

ヴァイオリンはどうなのか?弾いてみたいですね。

 

直近で「これを頑張りたい」という目標はありますか?

 

スペイン語ですね!タンゴのリハーサルとか、日常会話がスペイン語なんで、ジョークくらい言えるようになりたいと思って。 

でも日本に帰ってきてしまったので、今ちょっと止まってしまっていますね。

それは再開したいです。

 

廣津留さんの創る音楽の世界観から、目が離せませんね。コンサートが楽しみです♬

 


♩コンサートのお知らせ

 

2021/12/9:N響メンバーによるゲートウェイ・ゾリスデン ~デビューコンサート~

★ゲスト出演:廣津留すみれ